昔話

時の流れにまつろうのは いやだ 時の中に閉じ込まれるのは もっといやだ そんなことを思って昔の天皇の話を読んだでいたら これが結構面白い その中でも20代天皇から26代天皇までの話は特に面白く 20代安康天皇と弟の21代雄略天皇とその子の22代清寧天皇や 23代顕宗天皇と兄の24代仁賢天皇とその子の25代武烈天皇 そして20代から25代天皇までとは無縁の26代継体天皇と 想像の翼は限りなく拡がる 安康天皇は皇后の連れ子の眉輪王に暗殺され その後継者と目された安康天皇の従兄の市辺押磐皇子は 後に雄略天皇となる安康天皇の弟に殺され 雄略天皇の子の清寧天皇に後嗣がなかったからといって 殺された市辺押磐皇子の子供たちが連れてこられて その子供たちが顕宗天皇と仁賢天皇になり 武烈天皇に後嗣がなかったためといって 武烈天皇の高祖父の弟の玄孫が連れてこられて 継体天皇になる 結婚も望んでとか望まれてとかではなく 家が誅された後に決められたものが多く 征伐して統合した皇族や豪族の残党を 納得させるために妃を取るなんてこともあり 誰々の娘が天皇の妃になったといっても 現実は私たちの想像とはかけ離れたもの 雄略天皇の皇女は仁賢天皇の皇后でとか 仁賢天皇の皇女は継体天皇の皇后でとかいっても その意味合いは想像を絶する 雄略天皇はとんでもない暴君だったとか 武烈天皇が悪逆非道の異常な行動をとったとか 継体天皇は新王朝の始祖であるとか 歴史学者の言うことのすべてが 今に残る書物を読み解いての想像でしかなく 想像は果てしなく広がり 楽しい 話が現実離れしていると話にはいりこめないし 出てくる人たちが立派すぎるのも面白くない ぜんぶが正確に記録されていたら想像は働かず 二つ以上の書物に矛盾がないなんて つまらない わからない時代のわからない人たちは 今に生きる私たちと そうは変わらず 展開される話はまるで 隣国のテレビドラマのよう 主人公がいて敵役がいて 援助者がいて理解者がいる そして 不思議なことに 見え隠れする端役だけが 真実を知っている 今という時代を生きる君は そして僕は その頃に生きていた人たちより 幸せか? その答えは 誰も知らない 君も知らない 僕も知らない